プロボノがつなぐ、新たな共創デザイン

ソーシャルデザイン

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ソーシャルデザイン・ラボにご興味を持って頂き、ありがとうございます。第1回目の投稿となるこちらの記事では、「優しい社会をデザインする」ために一緒に活動してくださる「プロボノ」について、その言葉の現状についてお話ししたいと思います。

2021年4月1日に無事に法人登記の申請を完了し、7月1日の事業活動開始に向けた準備を開始しました。すでに先行してプロボノITスペシャリストの仲間達と共に、非営利組織や社会起業家に対してどのような支援が可能なのか、また、それらの活動を通して、プロボノにどのような価値がフィードバックされるのかについて検証を進めています。そして、事業活動開始に向けて、より多くのプロボノ仲間を集めるべく、SDGsやESG経営の御旗のもとにプロボノの啓蒙活動を開始したところ、想定外の事態に我々は非常に困惑してしまいました。

プロボノという言葉が通じない!

なんと、ESG経営を標榜しているような超大手企業におけるセミナーや意見交換会で「プロボノとは?」と尋ねても、自信を持って理解していると挙手できる人は5%にも満たない状況でした。これは日本人がシャイであるということを差し引いても非常に少なく、普段から社会貢献領域で活動している我々にとっての常識が、一般的には非常識であり、「プロボノ」という言葉が、IT業界における「DX」と同様に、まだまだ一般的に通じる言葉になっていないのではないか?と初めて疑問を抱きました。

この記事の読者にも「プロボノ」という言葉をご存知ない方が多いと思いますので、簡単に触れておきます。(詳しくは「プロボノとは?」をご覧ください。ウィキペディアの定義はこちらです。)

プロボノとは、各専門領域のプロフェッショナルが、その専門性を生かして社会貢献を実施すること、または、その人のことを指す言葉です。一般的にボランティアとは善意があれば誰でも参加できる活動が多いですが、プロボノは通常であれば費用が発生する専門的な活動を前提としており、その役務を無償で提供するところに特徴があります。

プロフェッショナルによるボランティアと理解すると「プロボノ」という響にもなんとなくマッチしていて覚えやすいですが、語源はラテン語で「公共善のために」を意味する「pro bono publico」の略だそうです。私はチリで仕事をしていた際に生きていくためにラテン語の流れをくむスペイン語を少々学びまして、pro→por(〜のために。英語のfor)、bono→bueno(英語のgoodやイタリア語のbono)、publico→(公共の)という連想ができたのでPro bonoはすっと腹落ちしました。

伝家の宝刀、広辞苑にもプロボノが載っていない!

これほどまでに一般に認識されていない言葉である「プロボノ」ですが、辞書ではどのように説明されているのかが気になり、近所の書店に行ってみました。すると、一般的な国語辞典には何冊調べても「ボランティア」は見つかれど、「プロボノ」という言葉は載っていません。そうなれば昭和生まれが頼るのは広辞苑か大辞林です。しかし店内をいくら探しても見つかりません。あんなに分厚い本が目に入らないわけがないので、店員の方に尋ねたところ、そうそう売れるものではないので最近は置いていないとのこと。まさか、書店に広辞苑が無い時代がやってくるとは。

このままでは気になって夜も眠れないので、電車に乗って大型書店へ行き、素晴らしい辞書の品揃えにホッとしつつ、おもむろに大辞林を開くと、ありました、「プロボノ」が。念のために隣にあった広辞苑も調べてみると、なんと、見当たりません!広辞苑にも載ってないとは、やはりプロボノという言葉は全く日本に根付いておらず、知らなくても当然の言葉だったのだと確信するに至りました。

また、この出来事は、私に15年ほど前の中国での体験を思い出させました。当時の中国はまだまだ発展途上で、一流大学を卒業したようなITエリートであっても都市部においてはルームシェアは基本で、自分が生きるのに精一杯という状況でした。そのような彼らにとって「ボランティア」という言葉は、その意味を延々と説明しないと理解してもらえない概念で、適切な中国語が存在しないと口を揃えて言っていました。

プロボノによる企業と非営利組織をつなぐ新たなデザイン

私たちはプロボノが企業と非営利組織をWin-Win-Win、近江商人のいう「三方よし」を実現するキープレイヤーになり得ると考えています。企業はどうしても営利の追求を優先してしまい、そこで働く誠実な従業員が葛藤に苦しんだり、ストレスを感じてしまうことある一方で、非営利組織は社会の幸せを願うあまり、自らを厳しい環境に追い込むことに慣れてしまっているのではないかと感じています。そのような状況において、プロボノとしての社会貢献活動は、非営利組織や社会から素直な感謝を受け取ることで自己肯定感が高まり、また、異業種や世代の異なる方々との協業から、本業における新たな気づきの機会も得られる、ワークライフバランスをコントロールできる優れたアプローチだと考えられないでしょうか?

2021年7月1日より募集を開始するマンスリーサポーター会員は、SDL(ソーシャルデザイン・ラボ)のメンバーとプロボノが運営するオンラインサロンに参加頂けます。オンラインサロンのメンバーにはビジネス開発や社会課題解決のヒントとなる各種セミナーやワークショップが提供され、Facebookグループを活用した、支援者とプロボノが学び合う機会として活用して頂けます。プロボノの可能性やソーシャルビジネスに関心のある方、また、イノベーティブな発想やサービスデザインなどのビジネス開発手法に興味のある方は、是非、ご支援をご検討ください。

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