社会起業家を目指して

ソーシャルデザイン

blue and silver scissors beside black and silver scissors

初めまして。SDLの社会起業家育成プログラム第一期生のMarinと申します。私が何故ここに辿り着き、ここでどういったことを行っているのかを書き綴ることで、少しでも多くの方にSDLのことを知っていただけたらとの思いでこのブログを書かせていただくことになりました。このブログを通して、より多くの方がSDLの社会起業家プログラムに興味を持っていただければ幸いです。


私は欧州在住の主婦です。子どもが小学校へ入学し、まだまだ手はかかるもののこのまま子育て中心のみの生活を続けるのはいかがなものだろうと、ずっと悶々とした気持ちを抱えながら過ごしてきました。本当に困っている人たちを助けたい、できれば興味のある環境問題または伝統工芸に関することで…そんな漠然とした想いはあったものの、自分に特別なスキルもコネもあるわけではないので、何をどうしていいのか分からず結局日々の生活をこなすだけで精一杯の毎日を過ごしていました。

「サステナブル」との出会い

そんな時、たまたまネットニュースで「サステナブルという新しい贅沢。排ガスゼロ、ゴミゼロ、貧困ゼロのエコリゾート」と題されたフィリピンで新たに計画されているというエコリゾート地の興味深い記事を目にしたのです。現在日本では「サステナブル」や「SDGS」という言葉は毎日のように見聞きしますが、欧州に住む私にとってサステナブルという言葉はこのネットニュースを読むまでは知りもしなかった言葉です。

サステナブルという言葉を聞くとなんだかワクワクする、もっと知りたい。そんな溢れ出る気持ちが後押しして「サステナブル、ビジネス」の二つのキーワードでネット検索してみたところ、出雲充氏著の「サステナブルビジネス」の本がヒット。今まさに私が知りたいことが書いてありそうな匂いがプンプンと漂ってくるではありませんか。普段なら本を買うのに何度も躊躇する私ですが、Amazonの電子書籍で珍しくも即購入。そしてその本を通してまた新たに知ることとなったのが「ソーシャルビジネス」という言葉でした。

ソーシャルビジネスという概念を知った瞬間、「これだー!!」と思ったことを今でも鮮明に覚えています。本当に困っている人たちを助けて問題解決をしたい。けれども、やり方が分からないだけでなく、ボランティアになってしまい自分はもとより我が子を養うことすらできなくなるのではという思いがあったのも事実でした。ですから、きちんと収益も上げられて、なおかつ社会問題を解決できるというのは今まさに自分が理想とする形と合致したのです。

目指すは社会起業家

そうと決まれば社会起業家を育ててくれるスクールを早速探してみたところ、あるにはあるけれども如何せん授業料が高額…。独り立ちしようものなら、百万円はゆうに必要であることを悟った私は一旦立ち止まり、ふと思ったのです。この世の中には無料で育ててくれる人はいないのだろうか?と。そしてリサーチしたところ、なんとあるではありませんか。それがSDLの社会起業家育成プログラムだったのです。


早速SDLにコンタクトを取ったところ、代表理事のMacさん(仲間内ではそう呼ばれています。)がすぐに面談の機会を設けてくださいました。Macさんも伝統工芸問題に関心があったことから、ありがたいことに社会起業家育成第一期生として即起用していただくことに。無料と聞くと、怪しい…と思われる方が多いかと思いますが、Macさんからは無料の育成プログラムであることのカラクリをきちんと説明していただいたので安心できました。育成プログラムが始まってからは、Macさんが主催するアート思考の講座に一般の方々に混じって受講したり、伝統工芸の一般的な概念についてプレゼンもさせていただき、Macさんから直々にアドバイスを受けたりと、かなり手厚いサポートを受けてきました。

日経ソーシャルビジネスコンテストにチャレンジ?

そんな中、Macさんから日経ソーシャルビジネスコンテストに出場しましょうと声をかけられたのです。ひよっこにもなっていない、まだ卵の自分に何ができるのだろうという思いもあったのですが、このタイミングでこのチャンスは逃したくないとの思いが強く、伝統工芸のどのような問題を解決すべきなのかを調べる日々が続きました。

しかしそこで問題が起こりました。娘の夏休みが始まったのです。欧州なので約二ヶ月半、朝から晩まで毎日つきっきりという環境。とはいえ、子どもがいても仕事をこなしているお母さんは世の中に山ほどいるので、子どもが側にいてできないというのは言い訳になると思い、あまり娘に構うことなく淡々と作業に続投することにしました。

そんな中、娘が突然アナフィラキシーショックを発症し、ぐったりとしている姿を見て、これまでなんて可哀想なことをしてきてしまったんだろうと自分のしてきたことを責めました。娘には寂しい思いをさせた上こんな苦しい思いまでさせてしまい、一方プロジェクトの進行具合も中途半端で、一体自分は何をしていたのだろうと。そして決めたのです。これ以上、全てを中途半端にするのはもうやめよう、娘との時間を大事にしよう、と。育成プログラムからは外されるであろうと覚悟した上で、Macさんにこれ以上は続けられない旨を正直に伝えました。

仲間を支えるというかたち

しかしMacさんからの回答は意外なもので、家族を大事にしてくださいとの優しい言葉でした。育成プログラムから外されることもなく、隙間時間にできることはないかと模索までしてくださり、ありがたいことにSDLで新たに作成しているファンドレイジングサイトのライティングをさせていただくことになりました。これなら娘が学校へ行っている間にできるので無理なく稼働できますし、社会起業家ではなくとも、社会貢献することができます。私の我儘に柔軟に対応してくださるMacさんには感謝しかありません。しばらくは娘との時間を大事にするため、社会起業家を目指すというよりも、SDLのサポート役に徹するつもりでいます。


社会起業家を目指す皆さん、SDLの社会起業家育成プログラムはかなり手厚いサポートをしてくれるので、本気の方こそ是非SDLの扉をノックしてみてください。SDLはグイグイと背中を押してくれますが、私のように途中で挫折してしまったとしても、見捨てることなど決してしない、優しく包み込んでくれる場所です。SDLメンバー一同、新たに社会起業家を目指す方々との出会いを心待ちにしております。

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